佐久間の今週の一冊「ルーズヴェルトゲーム」
2013年04月08日 日記
今週の一冊は池井戸潤さんのルーズヴェルトゲームです。
中堅電子メーカー青島製作所は町工場からスタートし企画力開発力を生かし、非上場ながら売り上げ500億会社にまで成長。
今製造業に重くのしかかる不況にあおられ、赤字決算・銀行の融資も厳しくなっている状況。
リストラを余儀なくされている状況。それだけでは済まない状況だった。
それは、創業者青島の象徴といってもよい野球部だった。青島製作所野球部はかつて名門野球部だったが、今はその面影もない状況。人件費と維持費のかかる野球部は今や会社のお荷物となっており、廃部がささやかれていた。
だが、野球で雇用されてる社員すなわち廃部は解雇を意味する。その部員の生活を考えるとなかなか廃部にできない。
その低迷する野球部に新しい監督がやってきた。
彼はベテランを外し、今まで使われていなかった選手を試合で使った。部員たちはとまどいと反発をするが、彼の理論的・緻密な戦略と大きな愛情に部員たちは一つになっていく。
勝利に向け一つになっていった野球部だが、廃部への動きは止められない。
経営でも野球でもライバル関係であったミツワ電器が青島製作所に攻勢をかけてきていた。
会社の合併話や強引な取引先への営業、野球部員の引き抜き。青島製作所は会社も野球部もピンチに陥っていた。
しかしここから青島製作所は底力をみせる。会社は新しい技術を開発し、新製品を売り込む。合併話・強引な営業にも負けなかった。野球部は会社内で新戦力を発見し、快進撃を見せライバルのミツワ電器に勝利したのである。
「一点ずつ取り合うシーソーゲームもいいが、私としては点差を追いつき逆転するところに醍醐味を感じるんだ。一点ずつそれぞれが加点して四対四になったのではなく、最初に四点取られて追いついたのだから、この試合は面白い。絶望と歓喜は紙一重さ。まるで、何かと同じだな。」本文より
かつてアメリカの大恐慌から復活させたルーズベルト大統領は「野球で面白い試合は八対七だ」と語ったという。
その言葉がピッタリなこの小説。どんな相手でも諦めずに人生を追い続けた男たちの物語です。