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今週の一冊「人間失格」

2013年06月03日 日記

今週の一冊は太宰治さんの「人間失格」です。

人間は、誰でもどこか人には見せることのできない何かを心の奥底に秘めているものです。自分を全てさらけ出すのは簡単そうにみえて実は結構難しいこと。また反対に、誰にも本当の自分を見せないとすれば、その人にとって人生とは一体何の価値があるのでしょう。でも、そういった人の方が、実は大変な人生なのでしょう。適当にぐらいが、適切な人生の選択ではないかと思います。

ひ弱で、純粋な主人公葉蔵。“NO”と言えず、人に誘われるままに行動してしまう男。自分を「特殊」な人間と考え、「普通」に社会に対応できないと思い込んでいる男。その癖、美男子で女性にもるので、女性に凭れかかった自堕落な生活をしてしまう。
一見、「駄目男」の典型のようですが、誰しもが、この主人公の何某かを持っています。
だからこそ、現代においても太宰の人気は衰えることを知らない。
逆に言えば、太宰はここで「純粋」過ぎる人間は、社会からはみ出した「人間失格」(=狂人)なのかと、問いかけているように思います。
人間の本来の醜さ、内に秘めた汚さを知った葉蔵は、いつしか外面と内面に別々の人物を作り出してしまっていました。偽り(外面)の仮面をかぶり、そんな姿を世間に晒し、崇められることがどんなに空しく、悲しいことか分っていても、こうするしか他に生きていく手段がない彼がかわいそうだったのです。そして、人生の第一歩から取捨選択を誤ってしまった彼が・・・。大体、そんな幼い頃から人生なんて考えなければよかったのです。その時々を、子供らしく生きて、そんな自分を受け止めてくれる所へと進めばよかったのです。人生という一生に一度しかないチャンスを、人目を気にし、自分というものを一度も出さずに終ってしまったとしたら、本当に価値のない人生になってしまうでしょう。傷つくことを恐れていては成長はないのです。自らを傷つけることによって初めて、人の痛みを感じるのだと思います。そんな、悪戦苦闘の人生を送った人ほど偉大な成長を遂げられるのだと思います。

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