« 「神様のいない日本シリーズ」佐久間の今週の一冊 | TOP | 村山の今週の逸品「ブライトリングクロノマット」 »

佐久間の今週の一冊「死神の精度」

2013年03月18日 日記

今週の一冊は井坂幸太郎さんの死神の精度です。

この本は短編集です。

死神の精度
死神と藤田
吹雪に死神
恋愛で死神
旅路を死神
死神対老女

以上の6つです。
主人公の死神の名前は千葉。死神にも名前がある。この死神が面白くて、言葉を人間と全く同じには理解しないようで、
ちょくちょく変な使い方をしたり、おかしな質問をして周りの人間をきょとんとさせてます。
人間は別に好きじゃないけど、音楽は大好きとか。
仕事をする時の仮の名前なのだが、なぜかみんな市や町の地名になっている。仕事?そう死神にも仕事がある。仕事だけじゃない、監査部とか情報部とかの部署があって、分担して人の死に関する仕事をしている。
千葉は調査部の一員だ。調査部の仕事は、情報部が選抜した人間を調査して、「死」を実行するのが適当かどうかを判断して、結果を監査部に報告すること。判断はそれぞれの裁量に任されているし、よほどのことが無い限り「可」の報告をすることになっている。彼らが近くに現れたら死を覚悟した方がいいらしい。
だから彼ら調査部の死神は「死の前触れ」ではあるけれど「死の原因」ではないのだから怨んだって仕方ない。とは言え「こんなヤツなら~」とはとても思えないところだが、その何かいいのだ。千葉には悪意が全くないところがいいのかも。頼まれたことは、やってあげてしまうところかもしれない。
死神はずっと昔から、人間の死を決めている。人間界にやってきて、死を決定された人間が「可(死んでよし)」か
「見送り(まだ死なないほうがよし)」かを見定めている。
「千葉」が、死を決定された人間に接触して、その人と行動を共にし調査する短編集です。
個人的に印象に残ったシーンは、死神が時折、人間に対して「死についてどう思う?」と聞いたり
「人間は皆死ぬのに、死が特別だと思ってる」という所。
ちょっと考えさせられる場面でした。
短編集なんですが、最後の話は、それまでの話とのつながり、
時間が繋がって流れていることを感じさせる良い終わり方でした。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://tax-isozaki.co.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/545

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)