佐久間の今週の一冊
2012年05月28日 日記
今週の一冊は榎本博明さんの「上から目線の構造」です。
「最近の若い人の考えていることがよくわからない。」と中高年世代がよくつぶやく言葉です。
ですが、若者なりの言い分がありあます。
中高年層からすると、若者の態度や行動は理解できないという声は強い。逆に若い世代からは、上の世代の強引さを批判する声がある。
この本は「上から目線」が気になる現代人の心理構造について、中高年世代と若者双方の視点を交えつつ、わかりやすく伝えています。
「上から目線」を口にするとき、その人はどんな目線で見ているのだろうか?
相手は親切心からアドバイスをしてくれたのに、余計なお世話だといわんばかりに、「その上から目線はやめてください」と口走るケース。
拒否的な態度をとるくらいであるから、相手の親切に感謝する重いなど微塵もないとみなすべきです。
むしろ、アドバイスをしてくれる相手がこちらより優位にたってものを行ってくるという解釈に重きを置いている。
ゆえに感謝の気持ちなど湧くはずもない。アドバイスをしてくるという姿勢が、こちらに対する優位を誇示しているように感じてしまう。
だから、ムカつく。馬鹿にするなと言った感じになる。そこには親切心から言ってくれた相手の思いに対する共感がない。
そもそも、経験も知識もはるかに豊かで、こちらにアドバイスできる立場にあるといった認識や敬意が欠けている。
あえて、上位・下位・劣位と言った図式を用いるとしたら、アドバイスをしてくれた上司や先輩の方が上位・優位に立っているのは、
否定しようのない客観的な事実。その現実に基づいて、親切心からアドバイスをしてくれた相手に対して、
「こちらに対して優位を誇示している」ように感じる。
そこに見え隠れしているのは「見下され不安」である。見下されるのではないかといった不安が強い為に、本来は役に立つアドバイスも
こちらに対して優位を誇示する材料と受け止めてしまうのです。
見下され不安の強い心には、親切な態度が見下す態度に映る。
その結果、感謝どころか「その上から目線はやめてください」になる。どちらが「上から」なのかということなのである。
経験豊かな者がアドバイスするとき、「経験者としての上から目線」に立ってものをいっているというのは確かです。
また、アドバイスをしてくれた相手を上から目線と非難するときの、
「あなたのその上からな物言いはよくありませんよ」ととてもいいたげな態度は、まさに、相手を「上から見下す上から目線」にたったのもだといえます。
若者ばかりではなく、「上から目線」の立場に立てる資格があるかどうかの問題もある。
こっちの方が先輩・上司あるいは年上なのだから目上である事は間違いない。目上の人間が目下の人間に向けるのが「上から目線」
なのだから、自分があるいは後輩に対して「上から目線」で物をいうのは当然。それを上から目線だと非難する方がおかしい。
こっちには「上から目線」で物をいう権利があるのだから。内心このような思いの人も多いのではないでしょうか?
だが現代は年長者だからといって尊敬される時代ではない。となると「上から目線」の立ち位置は、単に年齢によって与えられるのでは
なく、仕事上の知識やスキル、経験など実質的に部下や後輩よりも優れたものを持っている事によって与えられるものと考えるべきなのかもしれない。
年長者や上司・先輩にとって厳しい時代になったのです。
必要以上に威張り倒す態度や一方的に決め付ける態度に対して、若い世代は不快に思うと共に「大人の未熟さ」を感じている。
そこに、軽く見られない為の自己防衛の心理がメカニズムが働いていることに気づくのではないでしょうか?
若い世代も中高年世代もお互いも尊重しつつ、うまく融合できれば一番です。
このテーマは永遠のテーマなのかもしれません。