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佐久間の今週の一冊

2012年03月28日 日記

今週の一冊は吉田典生さんの「できる人で終わる人、伸ばす人に変わる人」です。

できる人というのは、ふつう優秀な人の意味合いで使われます。

しかしできるを自分で仕事ができるという意味に限定するなど、必ずしもできる人≒優秀な人ではありません。

自分で仕事ができるために、何でも自分でやってしまう。自分のよりもできる人が登場するのが許せない。

そんなできる人が組織のリーダーだと、その組織は「できない組織」になっている場合が多いのです。

この本の中では伸ばす人の対話のエッセンスを「4つの対話」として体系化しています。

ただのできる人は、周囲に距離感を感じさせます。周囲から一目置かれているのができる人です。

その一目が、近寄りがたい壁を作ってしまうのです。

見た目は穏やかでも、その人がすることを「自分はまねできないな・・・」と感じさせる人は、できる自分を通して周囲に無力感を与えている可能性が

あります。自分でもできるかも、できるかどうかわからないけど試してみよう、と思わせるのではなく、何でも先にやって「すごいな」「かなわないな」

と思わせてしまいます。

手助けのつもりで自分で仕事を片付けてしまうリーダーにも、同じことが言えます。できない人は指示されたり、手を貸してもらう癖がついてしまい、

受け身で考えて行動する習慣が身についてしまいます。

人が伸びていくために必要な自己肯定感が、いつまでたっても生まれてきません。できる人が格差を見せつけてしまう結果です。

一方見た目の雰囲気はどうであれ、「できそう」「やってみたい」という気持ちにさせてくれるのが伸ばす人です。

伸ばす人は、人を伸ばすような対話をしています。ハードなオーラで相手を引かせるのか、ソフトなオーラで対話する気を起こさせるのか。

この違いは実に大きいものです。

話しを聞いてもらいたいと思う相手は、何を言っても大丈夫という安心感を与えてくれる人はないでしょうか?

安心できる対話の環境で、自由に言いたいことを言えたからこそ、元気になったり、アイデアがわいてきたのではないでしょうか。

あの人だからこそ話したい、と思わせる人は、言い換えると聞いてくれる人です。

聞いてくれるということは、その人があなたのために「そこにいる」ということです。

これは、あなたという存在を受け止める基本的な行為です。「あの人に話したい」のは、ただ聞いてくれるからではなく

あなたがここに存在する価値を、その人が態度で示してくれるからです。だから聞いてもらうことで、人は元気になるのです。

ただのできる人と伸ばす人の違いは、聞いてあげる力を知っているかどうかの違いともいえます。

たいていのできる人は、周囲に対して言いたいことがたくさんあります。

自分の方ができて、周囲が今一つだと思っているので、不満も募れば、出したいメッセージもたまってきます。

しかし、伸ばす人はできない人の背景に関心を寄せています。

単純に自分が知っている答えを与えるのではなく、相手が今、何を欲しているかを十分に知ろうとします。

そこから真剣に聞くという行為が生まれてくるのです。
「伸ばす人」が持っている3つの力
1.自分とは異なる相手を「受け入れる力」
2.相手との対話を成立させる「伝わる力」
3.「伸ばす人」として相手の可能性を「引き出す力」

◆成長のプロセスとしての4つの対話
1.新しい視点を見つける
2.動機づけて行動を促す
3.行動の進捗を管理する
4.ゴールにたどり着いた後、さらなる成長に向けて次のゴールを描く

ただの「できる人」は、自分と相手の違いが対話の制約になってしまいます。

それに対して「伸ばす人」は、自分とは違う存在である相手の未知なる感情の領域に、いつもアンテナを張っている人です。

天から与えられた役割を放棄して、自己実現を語ろうとする人に自己は見えていません。

しっかりとミニゴールが定まっていれば、残された距離は同じでも「ここまで来たぞ」という事実を確認できます。

言葉の選び方によって、これまで届かなかった熱い思いが「方針」に変わります。それによって、はっきりと行動のイメージを共有す
ることができます。

一人一人が自分という存在の価値について新しい視点を見つけ出すこところから、何かが始まると考えてみる。

4つの対話はコミュニケーションを思う存分に活用するための羅針盤です。

こうすればうまくいくといったオールマイティーなテクニックは存在しません、相手にしてあげられることはそう多くありません。

変化は、予期せぬところから起きてきます。コーチがどうしたこうしたとは無関係に、本人が輝き始めることがあります。

相手が自分でできることは、案外たくさんあります。

練りに練った能力開発の超越したところに、人間の可能性があるのではないでしょうか。

その可能性を大切にすることが、必要な答えを探究し続ける原動力になります。

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