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佐久間の今週の一冊「スカウト」

2011年04月25日 

今週の1冊は、ノンフィクション作家、後藤正治さんの「スカウト」という本です。

スカウトはスカウトでもプロ野球のスカウトの本です。

球界では知らない人がいない名物スカウト「木庭教」(きにわさとし)さんのスカウト物語です。

スカウトという仕事は、企業の中では仕入れ部門です。有名な監督・コーチを集めても、肝心の選手の素材が悪ければ強くならない。

企業において要の部分にいながら、けして目立つことの無い職業です。

日常は、野球場や学校のグラウンドに足を運び、試合や練習を眺め有望な選手を探し出す。有望な選手が見つかったら、

選手を調べ、関係者と親しい関係を作る。その場では結果につながらなくてもその後の情報網の一つとなります。

観察と調査と関係作りこの3つが大事な仕事であるそうです。

昔は札束攻勢や、裏工作などが横行しドラフト制度によりこのことが一新されました。木庭さんはこのようなことは一切せず、自分を信じ

30年以上この仕事を続けてきました。

この木庭さんというスカウトは、戦後のプロ野球界を広島~大洋~オリックス~日本ハムと4球団と渡り歩いてきました。

いずれの球団においても功績を残し、第一線で活躍をしてきました。

木庭さんのスカウト人生は、広島カープから始まっています。

広島カープは市民球団として発足しました。長い間貧乏球団・お荷物球団と揶揄されてきました。

発足25年目1975年に古葉竹識監督の下、初優勝を遂げます。以降5度のセ・リーグ優勝。3度の日本一を含め常に

優勝を争うチームに変身しました。

このことは、昭和40年に始まったドラフト制度が大きく影響しています。

それ以前いちはやく、有望新人を発掘しながら、他球団との競争に入れば金持ち球団や人気球団にさらわれていくという時代がありまた。

スカウトの原点は、無名のかつできるだけ安い契約金でまかなえる選手に置かざるをえない。

そのためには、他球団が知らない選手。有名な選手だけではなく、木庭さんは無名の将来性のある選手を見出すのです。

ハンディある球団だったからこそ、名スカウトになった理由かもしれません。

有名な球団には負けたくなかったんだろうと思いました。

木庭さんが手がけた選手は、衣笠祥雄・大野豊・達川光男・三村敏之・池谷公二郎・高橋慶彦・山崎隆造・長嶋清幸・川口和久・紀藤真琴・正田耕三といった有名な選手ばかり・・・・

強いものは嫌いといった木庭さんの性格もあり、いかに安く有望な選手を他球団に知られずに獲得できるかがスカウト冥利に尽きると

本の中でも言っていました。木庭さんはいわゆる職人で、1本筋が通っており、昔の古き良き日本人です。

人間を野球という機能面において解析し、予測を立てるというのがスカウトの定義であるそうだが、木庭さんは更に人間として選手を

見る目。冷徹ながら暖かいもう一つの視線をもっている人であると思いました。

仕事人「木庭教」戦後の日本を支えたプロ野球の発展において、表にはでないがとても活躍した人物です。

昔の懐かしい野球選手の名前が出てきます。この本を読みながら何度「懐かしい」と私自身言ったことでしょう。

オールドファンにおすすめの1冊です。

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