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佐久間の今週の一冊

2012年07月02日 日記

今週の一冊は阿川佐和子さんの「聞く力」です。

阿川さんは芸能活動をする傍ら、2000年「ウメ子」により第15回坪田譲治文学賞を受賞。

「週間文集」対談ページ「阿川佐和子のこの人に会いたい」は連載900回を突破しています。

非常にマルチな才能をお持ちの阿川さんです。

テレビでは「ビートたけしのTVタックル」「サワコの朝」などで司会進行役として活躍されております。

頑固親父から普通の小学生までつい本音を語ってしまうのはなぜでしょうか?

聞き手として阿川さんが思っていることなどが書かれた本です。

感動的な話。涙なくては聞けない話。勇気を与えてくれるような清らかな話。

手の込んだ笑い話。努力と我慢に満ちた話。つくづくダメな話。情けない話。

人の話はそれぞれです。無口であろうと多弁であろうと、語り方が下手でも上手でも、

ほんの些細な一言の中に、聞く者の心に響く言葉が必ず潜んでいるものです。

でもそれが、決して「立派な話」である必要は無いのです。

声の出し方、ちょっとした対応、表情、仕草、躊躇、照れ、熱意。

オチの無いようなくだらない話の隙間にも、その人らしさや人格が表れていて、そこに共感したくなるような、

何か小さな魅力があればそれだけで十分。

そして、そんな話をする当の本人にとっても自ら語ることにより、自分自身の心をもう一度見直し、何かを発見するきっかけになったとしたら、

それだけで語る意味が生まれてきます。

その為に聞き手がもし必要とされる媒介ならばそんな聞き手を目指したい。

昨年の3月11日の東日本大震災は日本中の多くの人が感じたと同様に、何もかも手に付かないほどの虚無感に襲われたそうです。

いったい自分に今何が出来るのか?と・・・・・・・・・・

何も役に立てないのだろうか?無力な自分に焦りを覚え、その時点でやらなければならないことが全て無駄に覚えるほどやるせない気持ちになったそうです。

同じ気持ちを糸井重里さんも同様に持っていました。

ネット上のツイッターで被災者の22歳の女性と知り合ったそうです。

その際に糸井氏は被災地に行きたい思いはやまやまだが、どこに行っていいのか分からないと彼女に尋ねました。

その女性は答えました。「避難所に行って欲しい」と・・・・

避難所の人たちは話をする人がいないのです。

なぜなら、家が壊れた話を訴えたところで、みんな同じ目にあっているから、誰も驚かないのです。

家族を失い、自ら九死に一生の体験をしながらも、その話をすると

「ああ、私はモット怖い体験をした」という言葉が返ってくるだけで、誰も親身になって耳を貸してくれそうな状況ではないそうだ。

話を聞きに来てくれたというだけで、孤独じゃないってわかるから、自分が忘れられてないと気づくから。」

と彼女は糸井さんに訴えていたそうです。

糸井さんはこの話しを聞いただけで被災地に行くと決心したそうです。

「ただ聞くだけでこんなにも人の役に立つんだと」

奥さんや彼女、友達、同僚、上司などなど・・・・・・・どんな話でも「聞く」というのはこんなにも大事なことなんだなと改めて思いました。

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