今週の一冊「限界集落株式会社」
2013年10月17日 日記
今週の一冊は、星野伸一さんの「限界集落株式会社」です。
この本の物語は、山間の小さな農村を舞台にしたエンターテインメントです。限界集落は人口の過半数を65歳以上の高齢者が占める地域のこと。
このような集落の一番の問題は公共施設が徐々に無くなっていくということです。子育て世代が都会に進出し、後継がいない。子供も少なくなり小学校など統廃合に至る。
人口減により、地域医療の崩壊。公共交通も赤字が続き廃線。などなど「限界集落」は何事にも限界を迎えているものなのである。
ないないづくしの集落が全国で1万箇所も存在しているというのだからとても驚きです。
主人公多岐川優が企業のために、IT企業を辞職し人生の休息のための訪れた故郷は、まさに限界集落だった。
地域の役場からも冷たい扱いを受け診療所はなくなり、郵便局はとうに廃止され、交通手段であるバスまでもが廃止された。そんな集落は滅亡への一途をたどっていくしかなかった。
優は村の人と交流していくうちに、集落の農業を担うこととなった。
・休耕地がバラバラになっているのを統一
・ 思い思いの作物を作るのではなくて、消費者が欲しい物を作る
・一旦お米の生産を辞める
・ 旬の時期が少しずれる高地野菜に特化する
・ なんでも高値で販売するJAとの取引の中止
それなら、自治体に頼ることのない、農業生産法人=会社を作りましょう ではじまった限界集落株式会社。
都会で落ちこぼれた若者にネットの強みをいかんなく発揮してもらい、キャラクターを作り、形が不揃いのクズ野菜を販売する。 地元への販売を止めて、市外・県外にでてフレッシュな減農野菜を売り込み、少しずつ手応えを感じる。
現代の農業や地方集落が抱える様々な課題と格闘し、限界集落を再生しようとする。
出てくる登場人物、老人・フリーター・キャバクラ嬢・犯罪者・外部のものを認めない田舎者・自分中心の人間などが一致団結し、限界集落からの脱却をしていく姿を書いた本です。
今後限界集落は、高齢化社会が進むにつれ増えていくと思われる。そこから脱却するヒントなのかもしれない。
ないないでは、何もないまま。自分たちが動かなければ何も始まらない。それは全てに言えることなのかもしれない。