今週の一冊「ひなた弁当」
2013年10月07日 日記
今週の一冊は山本甲士さんの「ひなた弁当」です。
五十歳を目前に芦沢良郎は大手住宅メーカー王崎ホームをリストラされてしまう。
妻や娘からも愛想を尽かせれ居場所を失う。
実はこのリストラには会社の仕組まれた罠だった。自信も誇りもない男にもう立ち上がる気力はなかった。
リストラされた後は出勤のふりをし、近所の公園で遊んでいた良郎。
そんな時ドングリは食べれるのではないか?とふと思う。
いろいろ調べるうち、ドングリは食べれるという事がわかる・
お金を払わなくても、食べられるものはこの世にたくさんあった。
釣りに関しては全くの素人だったが、釣りの師匠に仕掛けなどを教えてもらい、釣り具を購入し 魚を取ることができるようになる。
さらに食べられる雑草も調べ上げ、自宅で料理をし始める。
ドングリ、魚、雑草タダで手に入るものを工夫すればおいしく食べることがわかった。
さらに料理の腕が上がっていった良郎は、昔通っていた弁当屋が休業状態であることを知り、弁当屋を始めようと決意する。
その弁当の名前は「ひなた弁当」
人柄のよかった良郎。口コミなどの効果もあってか、徐々にひなた弁当も知名度を上げていった。
新聞でも紹介されたひなた弁当は、食材調達・調理・販売もすべてこなそうとすると一日40食が限界だった。
収入は会社員よりも減ったが、良郎の生きがいは会社にいたころよりもずっと輝いていた。
妻も子供もそんな良郎を認め出すようになり、家族内の不協和音もなくなっていった。
食材調達のために外を出たことにより、様々の人と話す機会を得ることができた。
人との出会いで、元会社の株主にあったり、小説家にあったり、口コミを広めてくれた元同僚にあったりと
様々な人とのつながりで、良郎はある意味復活することができた。
良郎の言葉「人生っていいものですよ」
みんな幸せになれる、ほっこりとした小説でした。