今週の一冊「走れT校バスケット部」
2013年06月17日 日記
今週の一冊は松崎洋さんの「走れT校バスケット部」です。
この本は青春小説です。
中学時代、バスケ部キャプテンとして関東大会二位の実績を残した陽一は、 強豪私立H校に特待生として入学。
しかし部内で激しいイジメに遭い自主退学をすることに。部内でのイジメは陽一をバスケから遠ざけることになった。
失意のまま都立T校に編入した陽一でしたが、個性的なキャラクターの部員たちの熱い熱意により、再びバスケット部に入部する。
しかし、このT校で本当に自分のやりたいバスケットが出来ることに喜びを感じるようになったのです。
初めてバスケの楽しさに気づいた陽一は、恩返しするかのように、先輩が卒業するまでに一勝することを目標にチームを引っ張るようになった。
そんな陽一をキャプテンも信頼するようになり、練習の仕方から見直すように陽一にお願いしましたが、秋の大会では陽一は転校生なので参加できず、勝つことはできなかった。
「一勝する」ということだけでも、一つ目標を立てると普段のプレーも変わっていった。もしそれがすぐには実現できなくても、実現に向けて一歩一歩進んでいけるので、このように目標が立てられ実行することはなかなか難しい。
陽一たちが二年生になって、新入部員として、小さくて少し太った「コロ」が入部しましたが、部員は全員合わせて九人しかいませんでした。
部員は少ないが、一人一人が個性的でそれぞれの持ち味を発揮すると すごく強いチームに。弱小バスケ部を背負って立つことになる。 そこで、真の友情を育み、人としても成長していきます。
この中では陽一の父親の本当の父親らしさ、を感じました。 子どもを守り、そして子どもを信じ、子どもを応援する。
親としてあるべき姿、が描かれています。 そして息子に、言った言葉が「楽しめよ」その一言だった。その一言はどれだけ陽一を楽にしてくれたのだろうか。
その反対として描かれる元の高校のバスケット部の監督の卑屈さ。卑怯さ。 対照的であったけれど、これもまた一つの大人の姿。
もちろん辛い練習があってこそうまくなっていくのでしょうが、 楽しみながら上達出来るといい。
これは理想かもしれませんが。この形で上達から勝利となればこれ以上楽しいことはないのです。
最終的には自分をいじめた高校との決勝戦。 弱小のバスケ部があっという間に全国大会。
現実はそんなに甘くはないでしょうが、この小説の中では「こうなればいいのに」という展開に徐々になっていくのです。
それがとても爽快で、青春小説だと思える一冊でした。